キノコで動くコンピューター「シイタケRAM」誕生
キノコで動くコンピューター「シイタケRAM」誕生 / Credit:Sustainable memristors from shiitake mycelium for high-frequency bioelectronics
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キノコで動くコンピューター「シイタケRAM」誕生 (3/3)

2025.10.30 17:00:42 Thursday

前ページキノコの菌糸は情報処理システムとして機能する

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未来のメモリは畑から?

未来のメモリは畑から?
未来のメモリは畑から? / Credit:Canva

今回の研究により、身近なシイタケがデジタル情報を記憶できる有望な有機メモリー(生物由来の記憶素子)になり得ることが示されました。

これは、将来的にコンピューター部品を農作物のように「育てて作る」可能性を意味します。

特にキノコ由来のデバイスは生分解性があり、使い終わった後は土に還るため、電子ゴミを減らすことができます。

また低エネルギーで動作する可能性があり、さらに背景研究では放射線への耐性も示唆されているため、環境に優しいグリーンITや宇宙空間での電子機器など、幅広い分野への応用が期待されています。

もっとも現時点では課題も多く、キノコ由来の素子は生きた材料であるため、約2か月という短期間の実験でしか性能を評価できず、長期的な安定性はまだわかっていません。

また試作した菌糸メモリスタはペトリ皿ほどの大きさで、シリコンチップのような超微細な回路と比べると速度や容量では及びません。

そのため、実用化にはデバイスの小型化と性能の向上が不可欠です。

とはいえ、キノコの培養と乾燥保存のプロセスはシンプルで、大規模なシステムへの応用や長期保存も技術的には可能とされています。

それでも、人工物ではなく生きた菌糸が情報を記憶できることを実証した意義は大きいといえます。

研究者たちは、「堆肥の山と手作りの電子回路があれば、誰でもキノコ計算を始められる未来だって考えられる」と語っており、今後は三次元プリンターで作った型に菌糸を培養して電極を組み込む方法や、凍結乾燥や特殊ゲルでの保存など、さらなる改良にも取り組む予定です。

もしかすると、遠い未来ではコンピューターにメモリチップではなくキノコを植える日が来るのかもしれません。

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