チンパンジーは「証拠の価値」の変化すら察し信念を変更できる

今回の実験では、チンパンジーたちに「2つの箱からエサが入った方を当てる」という宝探しゲームが与えられました。まず2つの箱のどちらかにエサを隠し、ヒントを1つだけ示して、チンパンジーに箱を選ばせます。
その後、エサの位置を示すヒントとして、弱い証拠➔強い証拠の順で与えました。
例えば、最初は箱を軽く振って音を聞かせる(聴覚の手がかり:中に木片が入っている音)程度に留め、次に別の箱の窓から直接中を覗かせてエサを見せる(視覚の手がかり)といった具合です。
逆に強い手がかり先行のパターン(確かな証拠を先に、弱い証拠を後に与える)も試されました。チンパンジーはまず最初の証拠をもとに箱を選び、続いて新しい証拠を与えられた後で再び選び直す機会が与えられます。
結果は明快でした。
チンパンジーたちは、弱いヒント→強いヒントという順番だったとき、2つ目に与えられた強い証拠に基づいて最初の選択を覆すことが頻繁に見られました。一方、強いヒント→弱いヒントの順では、後から出てきた弱い証拠を多くの個体が退け、当初の選択をそのまま維持しました。
また、研究チームはチンパンジーの行動を説明しうる複数の仮説(例えば「最後にもらったヒントに単に飛びついているだけ」など)を検証しましたが、最終的には選び直しが“証拠の質”に沿っていることがはっきりしました。
「そんなの当たり前だろう?」と思うかもしれません。
確かに人間として生きている私たちにとって、証拠の比較は日常的な行いであり、何の苦もなく行えるものです。
しかし気付いてほしいのは、この結果は学習だけではなし得ないという点です。
箱の中にエサの音がすると学んだだけの場合、音の有る無しという学習結果に従い判断します。
視覚的手掛かりをもとに学んだ場合も、見えるか見えないかをもとに判断を行います。
そして両方の手掛かりが同時に存在するとき、比較してどちらを重視するかは、単純な学習とは全く別の現象です。
また最も重要な点として、実験全体を通じて練習による成績向上は確認されませんでした。
つまりチンパンジーの証拠を比較する能力は、研究者とのやりとりや実験の過程で後天的に学んだものではなく、初めから理にかなった対応をとっていたといえます。
さらに驚くべきことに、チンパンジーたちは「証拠をくつがえす証拠」にも対応しました。
例えば、強い証拠として箱の窓から見せられたエサが、実は窓のリンゴの絵(写真)だったと気付いたとき、チンパンジーはどうしたでしょうか。
結果は明確で、まさに「手のひらを返す」ような反応が見られました。
強い証拠が無効化された場合、チンパンジーたちはそれまでの強い証拠に基づく選択を迷わず捨て去り、一転してもう一方の選択肢(以前は弱い証拠しかなかったほう)に切り替えたのです。
重要なのは、チンパンジーが「証拠が覆された」と認識した場合にのみ信念を修正した点です。ディフィーター(打ち消す証拠)単独では効果が見られず、強い証拠を得た上でそれが否定されたときにはじめて、チンパンジーの判断は大きく揺らぎました。
これは、チンパンジーが新旧の証拠の関係を正しく理解し、「強いと思っていた証拠が弱まった」と受け取ったことを意味します。
一連の実験結果を通じ、チンパンジーは新たな証拠の重みに応じて信念を取捨選択し、ときには証拠そのものを疑うような高度な対応まで見せたといえます。
研究チームは「チンパンジーの行動パターンは明らかにベイズ的な合理的信念改訂モデル(新しい証拠がより確かなら、それをもとに考えを更新するしくみ)と整合する」と述べています。言い換えれば、チンパンジーは矛盾する複数の証拠を反省的に吟味し、どちらを信じるべきか判断していた可能性が高いのです。


























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