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別の言語を学習すると脳は若い状態を保ちやすくなる / Credit:Canva
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「多言語話者の脳は若い」と判明 (2/2)

2025.11.13 11:30:29 Thursday

前ページ別の言語を学ぶことは脳にどんな影響を及ぼすのか?老化の観点で調査

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多言語話者は“脳の若さ”が守られる

この壮大な解析から浮かび上がったのは、「多言語を話すほどが若く保たれる」という明確な傾向です。

単一言語しか話さない人は、2言語以上を話す人と比較し、“老化が加速している”と判定されるリスクが約2倍にのぼりました。

さらに3か国語、4か国語と話せる言語が増えるほど、「実質的な若さ」の効果は大きくなります。

驚くべきは、この結果が年齢・国籍・教育歴・収入・社会的地位・移民背景といった、脳や健康に影響しやすい様々な要素を調整してもなお残ったことです。

つまり「もともと頭が良い人が多言語話者になりやすい」というだけでは説明できず、“多言語を使うことそのもの”が、加齢の進行を食い止める独立した要因として働いているのです。

では、なぜ多言語が脳の老化を防ぐのでしょうか?

研究チームは、言語の切り替えや使い分けの過程が「脳の筋トレ」になっていると考えています。

例えば、会話中に文法や発音、意味を切り替えるたびに脳の広範なネットワークが活性化されます。

実際、言語処理や実行機能に関わる脳部位(ブローカ野やウェルニッケ野など)の灰白質が発達し、異なる脳領域同士の連結性も強化されることが過去の研究から分かっています。

また、この「脳の多重トレーニング」によって、認知的予備力(cognitive reserve)が蓄積され、将来的に加齢や病気で一部の神経回路が弱っても、他の部分で補える可能性があると考えられています。

「複数の言語を学び、使うことが脳の老化を遅らせる」

今回の成果は、多言語学習の意義を大規模な調査で科学的に裏付けた重要な発見と言えるでしょう。

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