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ある寄生アリは、ホスト女王を「敵」と誤認させ、その娘たちに殺害させる / Credit:Canva
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洗脳して「娘に実母を殺させる」教唆型の寄生アリを発見 (2/2)

2025.11.18 11:30:59 Tuesday

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ホスト女王を「敵」と誤認させ、娘たちに殺害させる

観察の結果、寄生新女王はホストコロニーの匂いになりすまし、警戒されないようにホスト女王へ忍び寄っていました。

そして十分に距離が詰まると、腹部を大きく曲げ、ホスト女王に向けて蟻酸(とみられる液体)を噴射しました。

この液体を浴びたホスト女王には、まるで“外敵の匂い”が付着したかのような反応が生じます。

その結果、普段は母親を守るはずの働きアリたちが、突然、自分の母親を「敵」と誤認し攻撃し始めたのです。

寄生女王が数回にわたり噴射を行うと、働きアリの攻撃はさらに激しくなり、最終的にホスト女王は自らの娘たちに身体を切断され死亡したことが確認されました。

研究チームは、死因は蟻酸そのものではなく、働きアリによる集中攻撃であると結論づけています。

つまり寄生女王は、自らは手を下さず、“娘に実母を殺させる”という極めて巧妙な寄生戦略によって、ホストコロニーを乗っ取っていたのです。

研究者の髙須賀助教は、この発見について次のように述べています。

「望まぬ娘に実母殺害を強要するというゾッとするシナリオは、ショッキング過ぎるからか有名な創作には存在しないようで、まさに事実は小説より奇なり」

他の寄生アリにも同様の「教唆型寄主操作」が存在する可能性があり、今後の研究によって寄生戦略の多様性がさらに明らかになると期待されています。

生き物の世界には、私たちの想像を超える“戦略”が、まだまだ隠れています。

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