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「好きな仕事」を探すことに伴うリスクとは / Credit:Canva
psychology

「好きな仕事を見つけなさい」というアドバイスの暗い側面 (2/3)

2025.11.20 06:30:41 Thursday

前ページ「好きな仕事を見つける」という考えと、その暗い側面

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「好き」は変化する──情熱は永遠ではない

「好きなことを仕事にすれば一生幸せでいられる」という考え方は、とても魅力的に聞こえます。

しかし心理学の研究では、人が「幸せ」と感じるポイントは年齢とともに変化していくことがわかっています。

マーゴリス博士は、自身の元学生の例を紹介しています。

その学生は20代の頃、大規模な音楽フェスやライブイベントの制作に情熱を注ぎ、その仕事を心から楽しんでいました。

しかし年齢を重ねると、非日常の続く生活に疲れを感じるようになり、落ち着いた夜や休日がほしいと思うようになっていきました。

この変化は、心理学研究とも一致しています。

2013年の研究によれば、若い時期は刺激の強い特別な体験で幸福を感じやすい一方、年齢が上がるにつれて、日常の中の落ち着いた体験でも大きな満足を得られるようになります。

そのため、若い頃に「これこそ天職だ」と思っていた仕事が、年齢を重ねた自分にとって必ずしも最適とは限らないのです。

また、情熱を仕事にすると、その情熱が摩耗しやすいことも研究で分かっています。

好きなことでも、それを毎日仕事として続けると、情緒的な疲れがたまりやすくなります。

その結果、仕事に対するコントロール感が弱まり、以前はワクワクしていたはずの仕事が「思っていたほど楽しくない」と感じることがあります。

教師や看護師といった「天職」と言われる職業でも、当初の情熱が薄れ、仕事に対する気持ちが距離をおくようになるケースが報告されています。

つまり「好きだから続けられる」という考え方は、必ずしも長続きするとは限らないのです。

次ページ幸福には2種類あり、仕事の価値は「楽しい」だけで測れない

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