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ブレイキング・バッドは現実か?がん診断で犯罪行為が14%増加すると判明 (2/2)

2026.02.15 12:00:54 Sunday

前ページがん診断で「break bad(道を踏み外す)」は現実に起きるのか?

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「犯罪の経済学」から見た人の心理

研究チームは、この現象の背後にある動機を推測するため追加の分析も行いました。その結果関連が示唆される要因がいくつか見つかりました。

第一の要因は、やはり「経済的な困窮」です。

がん診断は、本人から働く能力を奪い、収入の減少や失業をもたらします。

データによると、持ち家がない人や独身の人など、経済的な基盤が弱い層において、犯罪リスクの上昇がより顕著に見られました。

そのため失われた合法的な収入を補うために、窃盗や詐欺などの経済事犯に手を染めた、という可能性が示唆されます。

しかし、増えたのは金銭目的の犯罪だけではありませんでした。暴力などの非経済的な犯罪も増加していたのです。

ここで研究チームが検証したのが、彼らが「生存確率メカニズム(Survival Probabilities Mechanism)」と呼ぶ仮説です。

これは、自分の残り時間が少ないと認識した人間は、将来の刑罰を恐れなくなるという仮説です。

実際に、生存率が大きく低下するタイプのがんと診断された人々ほど、犯罪に及ぶ傾向が強まることがデータから示されました。

「長くは生きられないかもしれない」という認識が、将来の逮捕や収監といった社会的制裁の重みを軽くし、犯罪への心理的なハードルを下げている可能性があるのです。

ただ、データによれば、診断後に増えたのは万引きや詐欺、あるいは比較的軽微な暴力事件などが中心であり、殺人や強盗といった凶悪犯罪の増加は見られませんでした。 彼らは一線を越えて「道を踏み外す」ものの、ウォルター・ホワイトのような凶悪な犯罪者へと変貌するわけではなく、この点がフィクション作品と現実の異なる点です。

また研究チームは、2007年にデンマークで行われた自治体改革のデータとの比較から、興味深い事実を発見しています。

このデータからは、社会保障の給付水準が下がった地域では、がん患者による犯罪の増加率が、給付を維持した地域よりも高くなっていたのです。

この事実は、十分な所得補償や福祉的なサポートがあれば、健康ショックによる犯罪の増加をある程度食い止められることを示唆しています。

この研究は、個人の健康問題が、犯罪という形で社会全体に負の影響を及ぼす可能性を明らかにしました。

単純に人の道徳心や、刑罰のリスクだけでは、抑止できない犯罪心理がこの社会には存在するようです。

病気になった人を支えることは、単なる人道的な支援にとどまらず、社会の安全を守るための合理的な防犯対策にもなり得るのでしょう。

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