ルービックキューブの達人は「動かせる形」で考えている
詳しく見ると、ルービックキューブを解くときには、脳の複数の領域が関係しながら活動していました。
計画を担う前頭葉、視覚を処理する後頭葉、空間認識に関わる頭頂葉、記憶に関与する側頭葉が、それぞれ別々に働くというより、関連し合う形で動いていたのです。
つまり、ルービックキューブの速さは一つの才能だけで決まるのではなく、いくつもの能力が結びついて生まれていると考えられます。
特に注目されたのは、後頭葉のデルタ波と呼ばれるゆっくりした脳活動です。
この活動が強い人ほど、キューブを速く解く傾向が見られました。
後頭葉は視覚情報を処理する領域なので、この結果からは、見た配置を手の動きへつなぐ働きが、スピードに深く関係していることがうかがえます。
見えている色の並びをただ理解するだけでなく、それを次の指の動きへ素早く結びつけることが重要だったのでしょう。
また、計画力を測る課題では、側頭葉のデルタ波やシータ波との関連が見られました。
これは、複雑な手順を頭の中で組み立てる力が、特定の脳活動と結びついていることを示しています。
さらに視空間認知や記憶に関する課題でも、関係する脳領域の活動とのつながりが見られました。
研究チームは、ルービックキューブの解答が、記憶、計画、視覚、運動という複数の能力の組み合わせで成り立っていることを、脳波の面から確かめることができたのです。
ここで最も大きなポイントは、熟練したスピードキューバーが、キューブを手に取ってから一手ずつ考えているわけではなさそうだという点です。
15秒の観察時間のあいだに、解法を単なる抽象的な計画としてではなく、実際の手の動きにかなり近い形で頭の中に組み立てていると考えられます。
だからこそ、観察段階と実行段階で脳活動のパターンがよく似ていたのでしょう。
言い換えれば、達人たちは「考えてから動く」というより、「動かせる形で考えている」のです。
もちろん、この研究には限界もあります。
参加者は13人と少なく、全員が若い男性でした。
また初心者との比較も行われていないため、こうした脳の特徴が練習によってどのように育つのかは、まだはっきり分かっていません。
今後は、初心者が熟練者へと成長していく過程を追いかける研究が進めば、「できるようになる脳」の仕組みがさらに詳しく見えてくるはずです。
ルービックキューブの達人たちは、単に指先が速いだけではありません。
今回の研究は、複雑な思考と正確な操作が、訓練によって強く結びつく可能性を示しました。
あの驚くほど滑らかな手さばきの裏では、脳がすでに「動きに近い思考」を作り上げているのかもしれません。



























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