「酸素は制限要因ではなかった」顕微鏡が示した意外な事実
研究チームは今回、昆虫の体サイズと酸素供給能力の関係を直接調べるため、44種の昆虫(10の目)を対象に、飛翔筋に含まれる毛細気管の量を電子顕微鏡で詳細に測定しました。
その結果、非常に重要な事実が明らかになります。
まず、飛翔筋に占める毛細気管の割合は、ほとんどの種で1%以下に過ぎませんでした。
さらに驚くべきことに、体重が約1万倍も異なる昆虫同士でも、この割合はほとんど変わらなかったのです。
具体的には、最小の昆虫では約0.47%、最大の昆虫でも約0.83%と、わずかな差しか見られませんでした。
この関係を化石種にも当てはめると、体重約100グラムに達する巨大昆虫でも、毛細気管の割合はやはり約1%程度と推定されました。
ここで重要なのは、「もし酸素がサイズの制限要因であるなら、大型昆虫ほど毛細気管が大幅に増えているはず」という点です。
しかし実際にはそうなっていませんでした。
これは、昆虫の体サイズが酸素供給によって制限されているわけではないことを強く示しています。

しかも、毛細気管は筋肉の中でごくわずかな空間しか占めていないため、理論上はさらに増やす余地が十分に残されています。
比較として、鳥類や哺乳類の心筋では毛細血管が昆虫の毛細気管の約10倍もの割合を占めていることが知られています。
この事実は、もし酸素が本当に制限要因であれば、進化によって毛細気管を増やすことは十分可能であることを示唆しています。
つまり、昆虫が巨大化できない理由は「酸素不足」ではなく、別の要因にあると考えられるのです。
候補としては、鳥類や翼竜の登場による捕食圧や空中での競争、あるいは外骨格の強度といった力学的制約などが挙げられています。





























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