3つのカオスに挑む――「縞模様」「渦巻き」「ルールなしの乱流」
研究チームは量子AIによる「秩序の核(Q-Prior)」の実力を確かめるために、3段階のカオス問題の予測テストを用意しました。
テスト1:揺れる縞模様を追え

最初は、時間とともに揺れ動く「縞模様」の予測です。
風になびくカーテンの縞を想像してください。
風が吹くたびにシマの位置は変わりますが、「縞っぽさ」自体は保たれています。
Q-Priorなしのモデルは最初こそ縞を再現しましたが、時間が経つにつれてじわじわとずれていきました。
Q-Priorありでは500ステップのロールアウトでも統計構造を保ち、最初の100ステップで予測誤差が約17%減少しました。
テスト2:溶けゆく渦巻きを保て

次はぐるぐる回る2次元の渦巻き流。
ラテアートを思い浮かべてください。
Q-Priorなしでは模様が時間とともにぼやけてノイズの海に溶けましたが、Q-Priorありでは渦巻き構造が長時間保たれました。
テスト3:ルールブックなしの乱流

最後は3次元の乱流です。
激しく流れる川を真横からスパッと切って、その断面の水の動きだけを予測するようなもの。
しかもこの断面だけの動きを支配する方程式は存在しません。
さらにこのテストでは初めて、IQM社の超伝導量子プロセッサという本物の量子ハードウェアが投入されました。シミュレーターではなく、ノイズもエラーもある実機です。
結果はQ-Priorなしのモデルは全滅。
最先端のAIモデル(FNOやMNO)も破綻しました。
しかしQ-Prior付きのものだけが安定な長期予測を維持したのです。
使った量子ビットは10〜15個、パラメータは300未満。
10万個以上を必要とした従来手法とは桁違いの身軽さです。
しかも本物の量子マシンで作ったQ-Priorと、シミュレーターで作ったQ-Priorの性能がほぼ同等でした。今のノイズの多い量子コンピュータでも実用的に使えることを示す重要な結果です。
メモリ面でも、500メガバイトの生データがわずか約2.3メガバイトに圧縮されています。























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