なぜこの2つ? 体の中の「目印」も手がかりに

チームがまず気にしたのは、これまでの決め方です。
ダイナペニック肥満は、BMIやウエスト周り、握力の数字そのもので決められてきました。
しかしそれでは、脂肪の多さや筋力の弱さを取り違えてしまうおそれがある、とチームは考えました。
お腹の厚みについては、内臓のまわりの脂肪(内臓脂肪)の多さを、よりよく映している可能性があるとしています。
体格の割の握力についても、体の大きい人に隠れた弱さを、より見つけやすい可能性があるとしています。
同じ握力の数字でも、小柄な人と大柄な人とでは、体の重さに対する力の余裕が違います。
体格の割で見れば、数字の上では強そうでも実は弱い人を拾えるかもしれない、というわけです。
チームはもう一歩踏みこんで、この結びつきの裏に何があるのかも探りました。
使ったのは、体の状態を示す2つの目印の値(バイオマーカー)です。
1つは「全身性免疫炎症指数(SII)」です。血液中の細胞の数から計算する値で、名前のとおり体の免疫や炎症に関わる指標です。
もう1つは「HbA1c」という値で、ここ1〜2か月の血糖(血液中の糖)の平均的な高さを映す、糖尿病の検査でおなじみの指標です。
チームは、ダイナペニック肥満と死亡の結びつきを100としたとき、そのうちどれくらいをこれらの値で統計の上で説明できるかを見積もりました。
結果は、SIIで5.8%、HbA1cで13.7%でした。この割合は大きいほど、結びつきのうちその値で説明できる部分が多いことを示します。良い・悪いを表す数字ではありません。
裏を返せば、結びつきの大部分は、この2つの値では説明しきれていません。
しかもこれは「探索的」な分析、つまり手がかりを探す段階のものです。
これらの値のせいで亡くなりやすくなる、と確かめたわけではありません。
チームは、グループ分けとこれらの値の高さを組み合わせた分析もしています。
ダイナペニック肥満でSIIも高い人ではハザード比が3.11、HbA1cも高い人では2.53と、死亡のリスクはより高くなっていました。ハザード比は、1より大きいほど亡くなりやすかったことを表します。
このことからチームは、SIIとHbA1cが、ダイナペニック肥満の人の死亡リスクを見分ける助けになるかもしれないとまとめています。
では、この結果は私たちの暮らしにどう関係するのでしょうか。




























