池で身につけたクセが、脳への近道になる?

最後にチームは、池の底の堆積物をまねた粒状のハイドロゲルにアメーバを入れてみました。
アメーバはすぐに粒のすき間へ入り込み、ブレブと薄い突起の両方を使って、この立体的な迷路を進んでいきました。
短い時間で区切って見ると、進む向きを保つ度合いは低めでした。
ところが長い時間で見るほど、向きを保ったまま進む傾向が強まっていたのです。
これは、アメーバが少し前に向いていた方向を「覚えている」可能性を示しています。
こうした結果からチームは、池での暮らしが、病原性(病気を引き起こす力)の下地となる3つの振る舞いを選び出してきたのかもしれないと提案しています。
1つ目は、過去の向きの記憶に導かれた動きで、鼻の奥の空洞(副鼻腔)を探り回るのに役立つかもしれません。
2つ目は「閉所好き」で、嗅覚の神経線維に沿った狭い通り道へ入り込むのを後押しするとみられます。
3つ目は、ブレブを使って粘り強く進む動きで、神経線維に沿って素早く脳までたどり着く助けになるかもしれません。
フリッツ=レイリン氏によれば、こうした性質はおそらく、池の堆積物の中で細菌を狩るのに適したものです。
実際、比べた別の種類のアメーバでは、同じ振る舞いは見られませんでした。
ただし今回調べたのは無害な親戚のグルベリで、舞台も人の鼻や脳ではなく、研究室の通路やゼリーの中です。
脳食いアメーバが実際の感染でこの性質を使っているかどうかは、まだ提案の段階にとどまっています。
それでも同氏は、「間違った時に間違った場所」にいれば、壊滅的な感染を起こしうると話しています。
脳食いアメーバの恐ろしさは、脳を狙う特別な武器というより、池で細菌を探すための働き者な暮らしぶりが、たまたま人の体の通り道にぴたりと合ってしまったことにあるのかもしれません。
以前ナゾロジーではこういう記事も紹介しています(【脳食いアメーバ】致死率ほぼ100%の「フォーラーネグレリア」の恐怖とは?)




















