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体を張っていくスタイル。小児科医が「レゴ」の安全性を確認するために実際に飲み込んで排泄される

2018.11.30 Friday

Point
・オーストラリアとイギリスの小児科6名は、自らの身体を実験台にして「レゴ」を飲み込んだ
・飲み込んだレゴは1cm四方の頭部パーツで、結果的に便のお通じや体調に悪影響は見られなかった

日本でも子どもに人気のある「レゴ」ですが、親の身からしてみるとあれだけ小さなブロックなら子どもでも飲み込めてしまうため心配ですよね。

そこで、レゴを飲み込むことの危険性を調べるべく、オーストラリアとイギリスの研究者6名が立ち上がりました。

彼らは自らの身体を実験台にして実際に「レゴ」を飲み込んだ結果、一人を除き無事に排出を確認したとのこと。研究の詳細は、11月22日に’ the Journal of Paediatrics and Child Health’に掲載されています。

Everything is awesome: Don’t forget the Lego
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jpc.14309

今回の実験では、6名の小児科医のチームが1cm四方の「レゴ」の頭部を飲み込み、腸内を流れていくタイムを計測したもので、その結果について研究者たちは「子供の親を安心させるものだ」と説明しています。

統計によると、おもちゃのパーツは子供がもっとも飲み込むことの多い異物のひとつで、親の間では非常に懸念材料となっています。今回のような奇抜な実験は、ジャーナル誌クリスマス特別企画の一環としてよく行われるものらしく、研究者らはその企画のため、自分たちの体を実験台にしようと一大決心したわけです。

彼らは調査のため、「お通じスコア(shat=排便)」と「レゴ取り出しタイムスコア(fart=おなら)」という独自の測定法を設定しました。「shatスコア」を調べると、レゴを飲み込む前と後とで、お通じの良さに変化は見られません。また、「fartスコア」は、飲み込んだレゴが何日くらいで腸内を通過するかを調べたもので、6人各々のスコアは1.1日から3日の間に収まっており、平均すると1.7日でレゴは腸を通過することが分かりました。

チームのひとりであるグレース・レオ氏は、「子供が5cm以上の尖りがあるレゴや2.5cm以上の幅がある磁石やコイン、ボタン型の電池を飲み込んだ場合は医者にみせるべき」「子供が痛みを訴えた場合は、レゴの大きさに関係なくすぐに病院に行くように」とアドバイスしています。

しかし、それ以外の丸みを帯びている小さなレゴについては、心配の必要がないようです。研究チームのほとんどのメンバーは1日から3日でレゴを排出しました。しかし、その中の一人、デイミアン・ローランド氏だけは、飲み込んだレゴがなかなか出てこずに、その後も1人だけ調査を続行。しかし結局、レゴは顔を出してくれなかったようです。研究者らは自身で排泄物を確認していたということもあり、もしかしたら見逃していた可能性もあるでしょう。

今回の奇妙な実験で、研究者たちの内に痛みや何らかの症状を発症した人はいませんでしたが、レオ氏は決して気持ちの良いものではないので、良い子は真似しないようにと注意しています。実験は、直接子供の腸で行ったわけではないので安全性の確証はありませんが、それでもレゴを飲み込むことにそれほど危険性はありません。未発達な幼児の腸の方が、成人の腸よりも排出のスピードが早く、体内の遺物は早く体外に出やすいのです。

どちらかというと、レゴを飲み込んだら危ないのは、お通じの悪い大人のようです。これからのクリスマスシーズン、プレゼントなどで子どもがレゴに接する機会もあるかもしれないので、子どもはもちろん、大人もノリで飲み込んだりしないように気をつけましょう。

レゴ®ブロックを「洗濯機で回す」と生命の神秘が生まれるという研究

via: theguardian / translated & text by くらのすけ

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