■受け継がれる海面からのハント
もちろんクレトキシリナが、海に流れ着いたプテラノドンの死体を貪った際に歯が食い込んでしまったことも考えられます。しかし、プテラノドンがハンティングの最中に、逆に海からの襲撃を受けてハントされてしまった可能性もあるのです。
プテラノドンは、海中へとダイブして獲物を捕らえたり、海面近くに陣取って獲物をすくい上げるといった方法で狩りをおこなっていたと考えられています。つまり、プテラノドンのハンティング・ポジションは、お腹をすかせて海面下に潜むクレトキシリナの「攻撃範囲内」であったということです。
サメは獲物を追う際にものすごい勢いで海面から飛び跳ねることで知られていますが、クレトキシリナはプテラノドンを捕らえるためにそこまで高く跳ね上がる必要はなかったと考えられます。
また、研究者によれば、たとえ平均的なサイズのクレトキシリナが相手であったとしても、無防備なプテラノドンは簡単にハントされてしまったであろうとのことです。
化石のプテラノドンが実際にどのような最期を迎えたのかについて、決定的な証拠があるわけではありません。しかし、このようなサンプルはこの種の研究において非常に重要なヒントを与えてくれるものです。
1,000を超えるプテラノドンの化石のうち、その「捕食行動」の証拠となるようなものはたったの「7つ」しか存在していなかったのです。
現代の海に生きるサメも、海面近くを飛ぶ鳥を捕食することで知られています。今回の発見により、そのハンティングの手法がおよそ8,000万年前にも行われていた「歴史のある」ものであることがわかったのです。