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始皇帝が探し求めた伝説の薬草「アシタバ」、実際に老化防止成分を含んでいた

2019.02.22 Friday

Point
・人間の寿命アップが期待できる天然物質が特定された
・その物質は日本の植物、アシタバからよく取れる
・心臓に疾患のあるマウスへの投与実験で快復に貢献した

細胞の健康維持に関わる可能性のある多数の植物由来の分子の中から、寿命アップ効果の可能性がある物質が特定されました。その植物は日本原産の植物で、青汁の材料になっていることもある野菜でした。

オーストリアのグラーツ大学の研究グループによるこの論文は、科学誌『Nature』に掲載されています。

The flavonoid 4,4′-dimethoxychalcone promotes autophagy-dependent longevity across species
https://www.nature.com/articles/s41467-019-08555-ws

〜〜この記事は途中から画面が緑になって青汁の宣伝になったりはしませんのでご安心ください〜〜

不思議な薬草アシタバ

アシタバは日本原産のセリ科の植物で、房総半島などの温暖な太平洋沿岸部に自生しており、一説では徐福伝説に登場する不老不死の仙薬ではないかといわれています。始皇帝の時代から、その存在と薬のような効果は知られていましたが、健康への影響の実証は十分にされてきませんでした。

そこで今回研究チームは、自食作用の増大を起こす物質を植物由来の様々な有機化合物から突き止めたところ、アシタバから摂れるものであると明らかにしました。

科学の「寿命を伸ばす」という考えにおいて、老いとは通常細胞の変化であると考えられています。そのため老化防止は「変化との闘い」になりがちで、中でも「自食作用」という細胞の持つタンパク質分解の仕組みが注目されてきました。自食作用はタンパク質のリサイクルを行うシステムで、傷んだ細胞を分解し、新しくそこに健康な細胞を充てて生物の恒常性維持に貢献しています。そのため老化防止のために自食作用が損なわれることは老化につながる可能性があるのです。

今回特定された化合物は4-4’ジメトキシカルコン(DMC)というもので、アシタバから摂れることが知られており、自食作用を増進させる効果がありました。研究チームは酵母、線虫、キイロショウジョウバエの3種類の生物で寿命アップの効果を確認しました。

また心筋虚血という疾患を持ったマウスにDMCを与える実験では、細胞の死滅が本来よりも少なくなる結果が出ました。DMCの効果で自食作用が高まり、傷んだ細胞の分解が促進されたり前進の代謝が進んだためこのような結果になったようです。

だからといってアシタバを明日からドバドバ食べればいいというわけでもないようです。今回のアシタバの健康効果を調べる研究は現在ヒトから遠い種類での動物実験段階にあります。なので実際にヒトにも同じような効果が得られるかどうかや、まだ知られていない不都合な副作用が出るかどうかまではまだ分かっていません。そのため今後の研究結果に注目していく必要がありそうです。

水銀で死んだ始皇帝と、始皇帝の命で派遣されて、案外正解みたいな薬草を見つけた徐福さんとかいう組み合わせにに草生えますねぇ…

reference: zmescience / written by 白大根

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