■「ムネミオプシス・レイディ」という生物は、排便時にのみ現れる、不思議な「肛門」を持っている
■排泄物が肛門付近に溜まることで、「肛門」が開き始める
■「ムネミオプシス・レイディ」の排泄リズムは決まっており、幼生で10分に1回、大人で1時間に1回の割合に固定している
なにそれ…。神隠しのごとく現れては消える、摩訶不思議な「肛門」を持った生物がみつかったようです。
「ムネミオプシス・レイディ」という生物の肛門は、排便時にのみ開き、終われば跡形もなく閉じることが判明しました。しかも「ムネミオプシス・レイディ」は、最古の系統樹に属しており、肛門を持った最初の生物である可能性もあります。
研究の詳細は、2月22日付けで「Invertebrate Biology」上に掲載されています。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/ivb.12236#accessDenialLayout
最古の海洋生物「ムネミオプシス・レイディ」とは…
「ムネミオプシス・レイディ」は、「有櫛(ゆうしつ)動物」と呼ばれる海中の無脊椎動物の1種で、クラゲに似た無色透明の生物です。ただ、クラゲ類は「刺胞動物」と呼ばれるグループなので、正確に言うとクラゲではありません。
両者の祖先は共通しており、およそ5億2500万年前に栄えた「カンブリア紀」にまで遡ります。「カンブリア紀」は、多種多様な生物が一挙に誕生したいわゆる「カンブリア爆発」の起こった時期。
つまり「ムネミオプシス・レイディ」は海洋の無脊椎動物群でも最古の部類に属するのです。
祖先は一緒ですが、「ムネミオプシス・レイディ」とクラゲには、大きな違いがあります。それは、クラゲが食事と排泄を同じ1つの口で行うのに対し、「ムネミオプシス・レイディ」は、口と別の場所に排泄口を持っているということです。
ただこの排泄口は、使用時以外は開かずの扉状態になっており、これまでその排泄メカニズムは謎でした。