排便スケジュールは決まっている⁈
また、「ムネミオプシス・レイディ」の排便には、体のサイズに合わせた厳密なルールがあることが分かりました。
まだ幼生で比較的小さな個体は、およそ10分に1回の割合で、5〜10cmほどの大人の個体は、1時間に1回の割合で必ず排便を行うのです。タム氏は「この生物には、排便を促すための外部刺激がないため、独自の体内時計を使って排便を行なっているのでしょう」と推測しています。
さらに、「ムネミオプシス・レイディ」の排便メカニズムの解明により、肛門に関する進化論の定説も覆る可能性があります。
一般的に、生物は、「食事と排泄を同じ穴で行うグループ」と「口と別にもう1つ肛門を持つグループ」に分けられます。肛門は、当初口しか持たなかった生物が、長い期間をかけて、消化管を複雑化させた結果出来上がったものです。
そして、肛門を持つ生物の誕生は、カンブリア紀よりもっと後の時代であるはずでした。要するに、「ムネミオプシス・レイディ」が口とは別に肛門を持っていることは驚くべき事実であり、生物として初めて肛門を持った可能性があるのです。
タム氏は「この生物が、肛門のない生物と肛門を持つ生物との間に存在するミッシングリンクであるかもしれない」と指摘し、さらなる研究を進めています。