■物事に取り掛かる前に息を吸うと上手くいきやすいことが明らかになった
■タスク前に息を吸い込む際に見られる脳波活動の変化は、脳が次に起きることに注意を向けようとしている印
■図形に関するタスクと異なり、単語に関するタスクの場合、直前に息を吸うことによる効果は見られなかった
スポーツ選手がサーブやマッチポイントなどの大事な場面で、タスクを行う前に大きく息を吸う様子を目にしたことがありませんか?
イスラエルのワイツマン科学研究所が行った調査で、物事に取り掛かる前に息を吸うと上手くいきやすいことが明らかになりました。雑誌「Nature Human Behavior」に掲載された論文の中で、研究チームが行った実験が説明されています。
https://www.nature.com/articles/s41562-019-0556-z
吐くよりも吸うことが大事
研究チームが行ったのは、被験者にコンピュータ画面上でいくつかの図形を見せ、どの図形が現実に存在するかを当てさせるという実験です。各被験者には、鼻を通って吸い込まれる息と吐き出される息を計測する装置が取り付けられました。画像の切り替えは、被験者自身がボタンを押して行いました。
装置が計測したデータと、被験者が獲得したスコアを比べた結果、タスクを行う前に息を吸った被験者の平均正答率が73パーセントだったのに対し、息を吐いた被験者のスコアは68パーセントに過ぎませんでした。
次に研究チームは、他の被験者に対しても同じ実験を実施。ただし今回は、ボタンを押すのは被験者自身ではなく、スタッフでした。つまり、タスクを行う前に息を吸うか吐くかを被験者が自分で選ぶことができないということです。その結果、スコアに違いは現れませんでした。また、図形ではなく単語が現実に存在するかどうかを当てるテストでも、スコアの違いは見られませんでした。