■火星で検知された「メタン」の発生源を特定することに成功
■「アイオリス卓状台地」にある永久凍土のひび割れから「メタン」が漏れ出ていたことが判明した
■「メタン」の発生原因は、微生物によるもの以外に、水と岩の反応が原因で起こることもあり、火星に生命がいるとは断言できない
メタン溜めたん?
イタリア国立宇宙物理学研究所(INAF)のマルコ・ジュランナ氏と研究チームは、火星で検知された「メタン」の出どころを「アイオリス卓状台地 (Aeolis Mensae)」にある永久凍土であると特定することに成功しました。
ジュランナ氏によれば、メタンの潜在的な供給源を特定できたのは今回が初らしく、さらなる調査が急ピッチで進められています。やっぱり火星に生命は存在するかも?
研究の詳細は、4月1日付けで「Nature Geoscience」上に掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41561-019-0331-9
「メタン」を検知した2つの火星探査ミッション
NASAの火星探査車「キュリオシティー」が火星に到着したのは2012年8月6日のこと。そして2013年6月15日に、着陸地点である「ゲール・クレーター」にて、6ppb(=10億分の1)のメタンが大気中で急増したのを検知しました。しかしその時点では、研究者もメタンの存在に懐疑的で、発生源の特定には結びついていませんでした。
ところが、ジュランナ氏と研究チームが、欧州宇宙機関 (ESA)の打ち上げた火星探査機「マーズ・エクスプレス」の収集したデータを再分析してみると、キュリオシティーがメタンを検知した翌日に、同じ付近で強いメタン濃度を検知していたことが分かったのです。
「マーズ・エクスプレス」は軌道上から火星大気の調査を行なっており、その際15ppbのメタン濃度を検知したのです。そこで研究チームはメタンの発生源を特定するために、大気シミュレーションと地質調査の両方を個別に実施しました。
すると、驚くべきことに2つの結果は、まったく同じ場所を指し示したのです。その場所はゲール・クレーターから西に約500kmの地点にあるアイオリス卓状台地の永久凍土であることが判明しました。