PEGの驚くべき保温・断熱効果
PEGは個体から液体へと変化する「相変化素材」で、華氏80度(摂氏およそ27度)で溶ける性質を持っています。そしてその溶ける過程で熱を蓄えることができるのです。
そのおかげで、日光のよく当たる暑い日には熱を吸収して室内を涼しく保ち、反対に夜になると冷えて固まり蓄えていた熱を室内に放出するのです。また溶解温度はPEGの種類を変えることによって調節可能で、気候に合った木材を作れるようです。

「溶けるなら木材から漏れ出てベトベトになるのでは?」と心配した方もご安心を。PEGはリグ二ンを除去した木材の細胞の中に入れられカプセル化されるので、相変化の際に外部に漏れ出すことはありません。また湿気から木材を守るためにアクリル樹脂も使用されています。
透明木材は生物分解性であるため、微生物など自然のもので簡単に分解することが可能。現在の建築に多用されるガラスやコンクリート、プラスチック材よりも断然環境に優しいのです。一部アクリル樹脂が生物分解性ではないのですが、この先の研究でバイオポリマーに変えることも検討されています。
この透明木材、エコ・エネルギー削減・保温断熱効果、そして耐久性も一級品とのことで、まさにスーパー木材の名にふさわしいですね。これからの課題は工業的に大量生産可能な土台を築くことだそうで、5年以内の実用化が目指されています。
日本でこのオール木造の家が実用化されるようになったら、冬場の乾燥のための「火の用心」対策も同時に考えなくてはいけませんね。
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/18114