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土星最大の衛星タイタンには「氷の巨大通路」が存在した

2019.05.02 Thursday

青い部分が氷の通路 / Credit: NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

Point

■タイタンの窒素の大気の層の下に、氷の岩盤から成る巨大な通路が存在することが判明

■氷の通路は、タイタンの赤道に沿うように、6,300キロメートルにわたって存在

■氷の火山の噴火によって噴出した水・アンモニア・メタンなどが要因と考えられる

土星の最大の衛星「タイタン」は、ギリシャ神話に登場する巨神族を表すその名のとおり、巨大な謎に包まれた天体だ。

分厚い窒素の層が表面を覆い隠しているため、その姿は容易に見ることができない。

最近の研究で、これまで神秘のベールに包まれてきたタイタンが、ようやくその奇妙な地質の特性を見せはじめた。霧の下に、氷の岩盤から成る巨大な「通路」が存在することが分かったのだ。

アリゾナ大学の天文学者ケイトリン・グリフィス氏らによる論文が、「Nature Astronomy」に掲載されている。

A corridor of exposed ice-rich bedrock across Titan’s tropical region
https://www.nature.com/articles/s41550-019-0756-5

霧の下からドーン! 巨大な「氷の通路」が出現

氷の通路は、タイタンの赤道に沿うように6,300キロメートルにわたって伸びている。これは、タイタン全体の直径の約40パーセントに匹敵する長さだ。

グリフィス氏らは、探査機カッシーニが撮影した数千枚の画像データを分析。赤外分光計を使い、タイタンを覆う不透明な霧の向こう側を覗き見ようと試みた。

カッシーニが撮影したタイタン。大気があるため輪郭がかすんでいる / Credit: NASA/JPL/Space Science Institute

調査には、主成分分析 (principal component analysis, PCA) という技術が用いられた。データ中の天体表面の曖昧な特性を見つけ、正確にあぶり出すことで、タイタンの赤道を巨大な氷の通路が貫いていることを特定した。

このことから、氷は天体表面に均一に広がっているわけではないが、決してランダムに点在するのではなく、熱帯表面に多く分布することが明らかになった。氷に富んだ物質の多くは、東経30度・北緯15度の地点と西経110度・南緯15度の地点の間を、線を描くように分布していた。

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