氷の火山の噴火が残した別時代の遺物
タイタンの表面のほとんどは、太陽の光によってメタンの雨が降ることで堆積した有機化合物で覆われていると考えられているため、氷の通路が存在すること自体が不思議だ。
グリフィス氏は、タイタンが持つ湿ったガスに覆われた環境を、「狂ったバージョンの地球」と表現する。氷の通路がどのようにしてつくられたのかは不明だが、タイタンの環境が今とはまったく違った時代の遺物だと考えることができる。
研究チームによると、氷の通路が形成された要因としてもっとも有力なのは、氷の火山の噴火なのだそう。地表温度の低い天体にある山が溶岩ではなく、水・アンモニア・メタンなどの揮発性の物質を火山のように噴出するのだ。

だが、現在タイタンでは氷の火山の活動は起きていないようなので、氷の通路がなぜ今も存在するのかは謎である。
また、メタンの雨が今後どれくらいの量降るのかによっては、氷の通路はこの先長く存在し続けない可能性もある。
グリフィス氏らは、氷の通路の斜面の一部が急勾配になっていることから、通路の侵食が進んでいると推測している。侵食が進めば、通路の下に潜む有機化合物の正体が分かるかもしれない。
ミステリアスな氷の通路は、まさにタイタンが過去に通過した時代の面影を残す爪痕なのだ。
reference: sciencealert / translated & text by まりえってぃ