
■有機小分子の混合物(オリゴペプチド)にバイナリデータを記録する方法の研究が進められている
■化学的なデータ記録技術については、DNAに保存するという研究が進められていたが、これは高価で時間のかかる作業だった
■この技術では将来的に小さじ1杯のタンパク質にニューヨーク公立図書館の全情報を収めることができる
「昔のCDが読めなくなってる!」最近、そんな切ない悲鳴を耳にする。
CDに限らず、現在利用される記憶メディアには寿命がある。利用環境や利用頻度によって変化するが、一般的にハードディスク(HDD)は使用4年目以降から故障率は急増すると言われており、ソリッドステートドライブ(SSD)については耐久性が高く10年以上の寿命があると言われるが、そもそも書き込み回数に上限がある。いずれも永久にデータを保存できるメディアではない。
そこで大切なデータが消えてしまうという悲しい出来事とお別れするために、新しい情報格納技術の研究に注目が集まっている。
これまで、科学者たちは新しいデータストレージとしてDNAに目を向けていた。しかしDNAへのデジタルデータ保存は高価で時間のかかる作業であり、現状では実用化には程遠い。
そこでこの度新たに目を向けられたのが、オリゴペプチドだ。
ハーバード大学とノースウェスタン大学の研究グループにより共同で発表された研究報告によると、彼らは従来のDNA保存よりもずっと安価にオリゴペプチドへ情報を保存することに成功したという。
この研究は2019年5月1日付けの「ACS Central Science」に掲載されている。
https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acscentsci.9b00210?ref=tw1
なんだか身体に良さそうなデータストレージ

アミノ酸が2つ以上結合したものをペプチドといい、アミノ酸の数が10個以下のペプチドをオリゴペプチドと呼ぶ。アミノ酸というのはタンパク質の最小単位で、人体を作るための大切な成分のため、オリゴペプチドを健康食品の原料として聞いたことのある人も多いだろう。
そんなオリゴペプチドはアミノ酸の数や種類に応じて異なる質量になる。これを応用して今回の研究では、8つのオリゴペプチドの混合物で1バイトの情報を格納することに成功した。
さらに驚くべきことに、オリゴペプチドには回復力があり、論文によれば適切な条件下であれば、このオリゴペプチドのストレージには数百年から数千年もの期間安定的に情報を保存し続けることができるという。
これが実用化されれば死んだ後も、Cドライブの画像データは数千年の未来まで安定的に保存され続けるので、安心していいぞ。


























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