精神疾患が予防できる未来

スルフォラファンがラットの脳におけるグルタミン酸のアンバランスな状況に変化を与え、脳細胞間の情報のやり取りに影響を与えていることは分かっていたため、研究者らは、これが人間の脳でも作用して精神疾患に悩む人への処方箋となりうるのかを探るための研究をおこなった。
「Molecular Neuropsychiatry」に掲載されたこの研究では、9人の健康なボランティア(女4名、男5名)に、ブロッコリースプラウトから抽出されたスルフォラファンをカプセル状にしたものを7日間摂取してもらった。
ボランティアのうち少数が、空腹時にカプセルを飲むことでおならが出やすくなったり、胃に不快感が出ることを訴えたが、全体的に大きな問題となるほどではなかった。
研究者は、被験者らのスルフォラファン摂取の前後で、脳の3つのエリアにおけるグルタチオンのレベルを観察。そして実験開始から7日後、彼らの脳内では平均して30%のグルタチオンの増加が確認されたとのことだ。
ただしスルフォラファンの安全性を確認するためにはさらなる研究が必要で、それによって適切な摂取量や、効果が出るまでにかかる時間を見極めなければならないのだ。
将来的にはブロッコリースプラウトから抽出された高いレベルの「スルフォラファン」を含むサプリメントが開発され、これが統合失調症などに処方される抗精神病薬の代わりとなり、より副作用の少ない治療が可能になることが期待される。