ガス層がメタンを閉じ込め、窒素を露出させる
シミュレーションは太陽系の年齢である46億年前から始めて、「ガスハイドレート層」がある場合とない場合との違いを実験した。
するとガス層がない場合、冥王星の内部海は今からおよそ8億年前にはすでに凍っていることが判明し、反対にガス層がある場合では、保熱・断熱の効果により海が固体化を免れるという結果が算出された。
そしてガス層がない場合、惑星表面はわずか100万年ほどで完全に氷河化し、ガス層を導入すると、氷河化にはさらに10億年以上かかることが明らかとなっている。
チームによると、ガスハイドレート層の主な構成物は惑星内部の岩石核から生じたメタンガスであるとのこと。メタンガスはガス層に取り込まれやすいのだが、同じく内部核にあった窒素は格子状をすり抜けて地表に露出する。
これで冥王星の大気や氷河に窒素が豊富に含まれていることも説明がつくというわけだ。
今後、ガスハイドレート層が実際に観測されれば、冥王星以外の氷天体にも同じ理論が当てはまるという。すると太陽系の果ては、従来考えられているより、海や窒素が豊富なのかもしれない。
とすれば、生命が存在する可能性もグンと高くなる。極寒の地に生きる生命体なんて…ロマンしかない。