世界は「菌」を中心に回る
地球上の生命の大躍進は「菌類」の活躍なしではありえない。
その代表例が植物の繁栄だ。植物は今からおよそ4億年前に水中から陸上に進出してきた。
ところが陸に上がってまもない植物には土に生やす根っこがまだ存在しなかったため、栄養分を補給することができなかった。そこで菌類をパートナーにして、互いに栄養分を交換する方法を採用したのだ。

菌類は有機酸を分泌することで岩石を溶かし、その内部に貯蔵されている栄養素を抽出して植物に送る。反対に植物は光合成で生産された栄養素を菌類に与える。こうした協力関係により植物は徐々に生息範囲を広げていったと考えられている。
他にも菌類は生物の死骸を分解するという非常に重要な生物学的役割を担っている。要するに「菌類」がいなければ地球は円滑に回らないというわけだ。
つまり今回の発見は、9〜10億年前にも動物が存在していたことを示しており、これは世界の認識を塗り替えるものだ。10億年前など気の遠くなる過去だが、研究者は「こうした遠い過去は、私たちが考えていたよりもはるかに現代的だったのかもしれない」と語っている。
地球は思っていたよりずっと前から、菌類によって回されていたのだろうか。