アボカド生き残りの鍵は人類だった!?
進化しそこねたアボカドが今も生き残っているのは、一体なぜだろう?それには、私たち人類が始めた農業が影響しているようだ。
元来存在した野生のアボカドは、現在よりずっと種が大きく、果肉部分かなり小さかった。種を小さく、果肉を大きく改良し、私たちのような小さな動物でも食べられるようにしたのが、人類だ。
このように、古い特質を変えずに、進化しないまま生き残ってきた果物は、アボカドにかぎらない。新熱帯区に生息するパパイヤ・チェリモヤ・サポーテなども、進化を止めた果物の一部だ。野生に実るこれらの果物は、その土地に住む哺乳動物の基準に照らせば、とうてい食べられた代物ではない。
さらに、アボカドを「果物界きっての変わり者」にしているのは、そのくぼみにペルシンと呼ばれる毒があることだ。通常ヒトには無害だが、他の動物が大量に摂取すると危険である。南米には、アボカドのくぼみとチーズやラードを混ぜて作る、ネズミ駆除剤のレシピが伝わっているほどだ。

2011年時点で、アメリカ大陸では年間22万6,450トンのアボカドが生産され、1人あたり約2キロが消費されている。謎多き「進化のオバケ」は、今も脈々とこの世を生きつづけている。