クエンチ現象を防ぐ

またチームはマグネットから絶縁体を取り除くことで磁場の強化を図った。絶縁体は電流を最も効率の良いルートで流す役割を果たすのだが、クエンチ現象を引き起こす原因ともなっている。
超伝導体は極低温まで温度を下げることで、電気抵抗がゼロの状態に導く。それによって発熱もなく電流を永久に流し強力な磁場を生み出すものだ。
しかし絶縁体によって電流のルートが決められてあると、何らかの故障によって電気抵抗が生まれ、急激に熱を発生し超伝導状態が壊れる恐れがある。
こうした超伝導状態から常伝導状態に戻ることをクエンチ現象と呼ぶ。そこでチームは絶縁体を取り除くことで、電流のルート特定を避けて完全な効率で流すことを可能にしたのだ。
研究チームはこの新技術が多方面で活躍することを期待しており、粒子検出器や核反応リアクター、医療診断機器などに用いられるマグネットに応用する予定である。