Point
■アメリカで、ネット依存や中毒を促すようなwebデザインの廃止を促す法案が発表される
■ソーシャルメディア企業の多くが「動画の自動再生機能」や「無限スクロール」など、依存度を高める方法を採用している
■法案が成立すれば、アメリカのソーシャルメディア企業はすべてユーザー側でサイト滞在時間を管理するツールを導入する義務が発生
「ネット依存・中毒」の原因となるWebデザインの廃止を促す法案が、アメリカの上院議員によって発表されました。
この法案は「ソーシャルメディア中毒軽減技術法(SMART法)」と呼ばれており、ユーザーにサイトの長時間使用を促すような機能の禁止が目的です。例えば「YouTubeの自動再生機能」や「無限スクロール」がそれに当たります。
今後法案が可決されれば、連邦取引委員会とアメリカ合衆国保健福祉省が、同様の内容の規則を作成することになるでしょう。
ネットユーザーに適切な選択を
法案を発表した上院議員のジョシュ・ホーリー氏は、法案について、「現在の巨大企業が推進するイノベーションの大半は、より良い商品を作るためではなく、サイトに依存させるようなモデルを使用しています。いかにユーザーの注意を引き、サイトに留まってもらうかという心理トリックにばかり腐心している」。
ホーリー氏は、そのような心理トリックよりも、ユーザーが適切な情報に基づいて正しい選択を行えるようなwebデザインを心がけるべきだと指摘しています。
例えば、webページにある「同意(accept)」と「拒否(decline)」のチェックボックスを同じサイズや書式、フォントにすることもその一例です。
先月末に行われた公聴委員会では、Googleの元デザイン倫理学者を招いてwebデザインに関する意見を聞いています。
専門家は「多くの企業が、ユーザーがサイトで費やす時間を増やすために無限スクロールを用いている」と話しています。無限スクロールとは、画面を下にスクロールすることで自動でページが更新される方法です。
大量のコンテンツが延々と出てくるため、エンゲージメント総数を増大させるだけでなく、ユーザーにサイトを長時間閲覧させることができます。
ホーリー氏はこのような技術によって、「ユーザーの福利がますます脅かされるのでは」と懸念しているとのこと。
現在ではAppleのように、ユーザー側がアプリやwebサイトに費やしている総時間を追跡できるツールをすでに提供している会社もあります。今回の法案が成立すれば、アメリカのソーシャルメディア企業はすべて、同様のツールを導入する規則が設けられるとのことです。
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/1504