銀河の王たちの祖
これらの銀河は、私達の住む天の川銀河とほぼ同程度のサイズと推定されています。
110億年以上前の宇宙で、天の川銀河と同程度というのは相当に巨大な銀河と言うことができます。
また、その明るさから推定すると、天の川銀河の100倍近いペースで大量に星を生み出し続けていることも明らかになりました。これは巨大星形成銀河と呼ばれるものです。こうした銀河は巨大楕円銀河の祖先だろうと考えられています。
巨大楕円銀河は、太陽の数兆倍の質量を持つ「銀河の王」と称される巨大天体のことです。
今回発見された数は39個ですが、これは検出を行った領域から考えるとあまりに多い検出数です。そのため、こうした巨大星形成銀河が、110億年前の宇宙には、相当な数存在していた可能性があります。
こうした観測結果は、大きな謎も生み出します。これまでの宇宙進化理論では、110億年以上前の宇宙では、星を活発に作り出すような巨大銀河はそれほど存在できなかっただろうと考えられていたのです。
これは従来の理論モデルやシミュレーションでは、まったく予測できない状況です。また、ダークマターによって宇宙が形成されるというモデルに照らし合わせても、これほど巨大銀河を大量に作り出すことは説明できません。
「これは宇宙進化に関する我々の理解への挑戦状だ」、今回の観測チームの1人ワン氏はその様に語り、今後打ち上げが予定されているジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡や、宇宙赤外線望遠鏡スピカなど、次世代の高性能望遠鏡たちがこの謎の解明に貢献することに期待を寄せています。
最新の望遠鏡は、数々の新しい発見とともに、数々の謎を提供する存在になっているようです。
今後稼働する望遠鏡は、この積み上がった謎の数々を解明してくれるのでしょうか? それとも下手くそなテトリスの様に、積み上げるばかりで何も解消してくれないのでしょうか?
ぜひとも、どかんと一気に謎を解消してくれるような発見があるといいですね。