宇宙の破裂「ビッグ・リップ」とは
現在、宇宙空間を占める物質は、原子・分子や恒星、天体などが5%、暗黒物質(ダークマター)が27%、そしてダークエネルギーが68%と言われています。
このダークエネルギーは、目には見えない仮説上のパワーのことで、宇宙の膨張を加速させている主原因であると定義されます。もしこのダークエネルギーの密度が時間の経過とともに高まっているとしたらどうでしょう。
いずれダークエネルギーの密度が、宇宙全体のバランスを保っている基礎的な力(自然の物理法則)を上回ってしまい、バラバラに破裂してしまう可能性があるのです。これが「ビッグリップ」であり、2003年に発表された新しい仮説となっています。
ビッグリップが起こると、宇宙に存在する物質は素粒子レベルで散り散りになると考えられており、想像するだに恐ろしいものです。
しかし、ビッグリップが起こる可能性は低いとする専門家も多く、2018年の研究によれば、ビッグリップが起こるとしても1400億年は先のことだと言われています。
ビッグクランチにせよビッグリップにせよ、今生きている私達が立ち会うことはないでしょう。しかしその終わりを想像するだけで、宇宙の壮大なロマンに近づける気がしてしまうのが人間の性なのです。