Point
■金星の雲は全体的に白く輝く「アルベド」と呼ばれるもので、太陽光などをすべて反射してしまっている
■金星の雲には、黒いシミのように見える未知の吸収体もあり、これは太陽熱を吸収していて、これが帯状の風を生み金星の大気循環に影響を及ぼしている可能性がある
■この黒いシミが何であるかは未だに明らかではないが、大気中に浮遊している微生物ではないかと言われている
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/43738
金星の大気は、ほとんどが硫酸と二酸化炭素で、表面温度は464℃、大気圧も地球の90倍というとんでもない環境ですが、地上から50km上空は、地球とほぼ同じ気温、気圧を維持しているため雲の中には生命が存在している可能性が指摘されています。
その証拠と考えられるのが、金星の雲に見える黒いシミのような領域です。微生物には光を吸収する特性があり、地球でも40km上空に巻き上げられて生存している微生物が確認されています。
そのためこの黒いシミは、金星生命の痕跡ではないかと調査されていたのですが、長年の調査の結果、この黒斑について別角度で新事実が判明したのです。それは、このシミが金星の気候変動に大きく影響しているのではないかというものです。
金星には秒速100mに達する猛烈な突風「スーパーローテーション」が吹き荒れています。その原因が、黒いシミにあるのではないかというのです。
この研究は、ベルリン工科大学の研究者率いる科学チームにより発表され、8月26日付けでアストロノミカルジャーナルに掲載されています。
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-3881/ab3120
金星に棲む生命の可能性
金星は、地球と比べるとあまりに環境が異なります。高すぎる表面温度と大気圧により、地上に探査機を送り込んでも潰されてしまい、ほとんど調査ができないのです。
さらに、金星の空は非常に反射率の高い雲に覆われていて、地表の様子を外側からの観測で見ることができません。
しかし金星はサイズが地球とほぼ同じで、重力にも大きな差がありません。そして地上50km程度の場所では、大気圧、気温ともに地球とほぼ同じ環境が揃っていて、大気の組成を除けば、現在発見されている惑星の中でもっとも地球に近い環境が揃っているのです。
「そんなこと言っても、二酸化炭素と硫酸の大気じゃ話にならないのでは?」と思うかもしれませんが、実はこの組成によく似た環境が地球にもあるのです。それは火山帯です。ここに棲む微生物たちは二酸化炭素を食べて、硫酸を作り出し繁殖しています。
そのため、ひょっとしたら金星の雲の中になら生命が存在するのではないか、という仮説が古くから指摘されていました。
この雲の中に棲む微生物の有力候補と考えられているのが、反射率の高い金星の雲の中に現れる黒い斑点のような領域です。
これは、科学者たちに未知の吸収体と呼ばれる謎の存在です。微生物に光を吸収する特性があることから、これが金星に棲む微生物の集まりなのではないかと考えられるようになりました。
ただしこれに関しては、未だに事実がどうであるかは不明なままです。