金星を取り巻く謎の現象「スーパーローテーション」
金星では、太陽は西から昇ります。地球とは逆方向に自転しているためです。
この自転と、気温差などにより惑星を取り巻く風が生まれるのですが、金星の大気は自転の60倍もの速さで流れており、地球とは大気流動のメカニズムがまったく異なります。
この秒速100mを超える帯状のジェット気流「スーパーローテーション」は、金星における謎の1つです。
日本もこの謎を解明するため、金星探査機「あかつき」を送り出しています。
金星は地球と異なり、太陽のエネルギーを地上が吸収するのではなく、雲が蓄えています。
金星の雲について興味深いのは、その中に謎の黒い斑点が存在し、その微粒子が太陽からの紫外線と可視光をほとんどを吸収しているという点です。
この斑点は、1世紀以上前に地上の望遠鏡で観測されて以来、目まぐるしく分布や比率を変化させています。
ベルリン工科大学のLee氏率いる研究チームは、「あかつき」の観測データや、その他の惑星探査機、「ハッブル宇宙望遠鏡」などの調査データを元に、10年以上の金星の雲の紫外線特性を調べた結果、雲の黒い斑点が吸収する太陽熱が原因でスーパーローテーションが起こっている可能性が非常に高いことを発見しました。
この未知の吸収体は、地球の大気中に存在する微生物とよく似た大きさと光吸収特性の粒子であることが観測で確認されています。
雲に浮かぶ黒い斑点の正体が何であるかはまだ不明ですが、これは非常に興味深い発見だと言われています。
ひょっとしたら金星の猛烈な大気流動、スーパーローテーションの原因は、生物などいないと思われた金星の雲の中に潜む微生物が起こしているかもしれないのです。
お隣の金星にも、まだまだ未知の秘密がたくさん隠されているようです。