Point
■地球から130億光年の場所に、観測史上最も古い銀河団が発見される
■銀河団を構成する12の銀河には、10年前に発見されていた巨大ガス雲天体「ヒミコ」も含まれている
■現代宇宙では、密集度の低い場所の方が星形成の頻度が多いが、130億年前の宇宙は、高密度地帯の方が星形成が活発だった
東京大学宇宙研究所は、先月27日、観測史上最も古い銀河の集団が発見されたことを発表しました。
「z66OD」と命名された銀河団は、「くじら座」の方角に約130億光年離れた場所に位置しており、宇宙誕生からわずか7〜8億光年後に誕生しています。
z66ODは合計12の銀河を含んでおり、その中には、10年前に同研究チームが発見していた巨大ガス雲天体「ヒミコ」も入っているとのことです。
研究の詳細は、9月30日付けで「The Astrophysical Journal」に掲載されました。
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ab2cd5
観測史上最古を記録した12の銀河
観測に使用されたのは、国立天文台ハワイ観測所の「すばる望遠鏡」です。
すばるにより撮影された銀河団の全体像がこちら(画面中央に広がる青いゾーンは、銀河団の高密度を示すために後から色付けされたもの)。
それぞれ拡大された画像中の赤い部分が、新たに発見された銀河になります。
銀河団から放たれた光は、130億光年の旅を経てようやく地球に達したこともあって、観測が可能になったのはつい最近のことのようです。
この中に含まれる「ヒミコ」は、銀河団の中心部から5億光年も離れた端の方に位置しています。
研究チームの大内正己氏は「ヒミコのような巨大天体を中心に銀河団を形成することはあるが、これほど中心から離れた場所にあるのは驚きだ」と述べました。