ミニムーン解明の鍵を握る火球
そうした中、2016年8月にオーストラリアの砂漠で興味深い火球が観測されました。
今回の研究者たちによると、その火球はミニムーンであったものが大気圏に落下し燃え尽きたものだったというのです。
研究者たちは火球の速度や軌道角度を調べれば、それがミニムーンであったか判別することが可能だと言います。
観測された火球は速度が秒速11キロメートル以下で、ほぼ水平な角度で地球大気へ侵入していました。速度が遅いことは、地球を周回していたことを示しており、角度は基本的に地球を周回していた場合より小さな角度になります。
研究チームの計算では、この火球がミニムーンであった可能性は95%だとしています。
こうした火球をより多く観測しデータを集めていくことで、ミニムーンが地球の重力に捕らわれるメカニズムや、どういった飛行経路を取っているかに対する理解が深まると言います。
小惑星は46億年前からほとんど変化しておらず、太陽系の歴史を知るための貴重な資料と考えられています。
探査機はやぶさ2などは、そんな貴重な小惑星のサンプルを手に入れるために、困難なミッションを行っています。
天文学者たちは最終的には、粉塵のような僅かなサンプルではなく、小惑星の有人探査を実現させて十分なサンプルを手にして調査を行いたいと考えていますが、それは現状では遠い夢となっています。
しかし、そんな小惑星のサンプルが実は地球のすぐそばをずっと周回しているのです。これを上手く捉える方法が確立されれば、太陽系の起源にせまるサンプルを、より少ないリスクと低いコストで回収できると考えられています。
現在のところミニムーンによる火球の観測は2回だけだそうですが、流星の観測から太陽系の起源にせまる方法を探すというのは面白い研究です。