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- 人間の肝臓を体外で1週間保存できるマシンが開発された
- マシンに接続した移植に適さない肝臓の10分の6が、移植可能なレベルにまで自己回復した
- 新しいマシンは身体プロセスを模倣することにより、ドナー肝臓を正常に機能させ続けることができる
肝臓移植は多くの肝不全の患者を救ってきましたが、ドナー肝臓の保存可能時間が短いゆえに、ドナー可能な肝臓が限られています。ドナー肝臓はこれまで、12時間~24時間しか保存することができなかったのです。
しかし、最近の研究によって、ドナー肝臓の保存期限と肝臓の質の低下の問題を大きく改善できる装置が作られました。
チューリッヒ大学病院などの研究者たちが、人間の肝臓を体外で1週間生かし続ける「Liver4Life」を開発。単に肝臓の機能を維持させるだけでなく、自己再生するよう促します。
研究の詳細は1月13日に「Nature Biotechnology」誌に掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s41587-019-0374-x
人間の肝臓を体外で1週間機能させ、自己再生できるマシン
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これまでのドナー肝臓の標準的な保存方法は、「調達時に臓器を冷たい溶液で洗い流し、氷の上で保存する」というものです。冷やすことによって代謝を低下させ、老廃物の蓄積を防ぐのが目的です。この方法では、肝臓の劣化スピードを遅くしているだけなので、12~18時間の保存が限界です。
最近、過冷却(-4℃まで冷却する)や灌流(かんりゅう:臓器に血管を通して血液や液体を流し込むこと)の組み合わせで、保存期間を延長できるようになりましたが、それでも24~27時間の保存が限界です。
一方、新しく開発された「Liver4Life」は人間の肝臓を体外で1週間も保存できます。肝臓の機能を低下させず、正常に機能させ続けることで長期間保存を可能にしているとのこと。
肝臓を正常に機能させることで肝臓に備わっている本来の自己再生能力が働きます。これにより、肝臓が劣化しないだけでなく、劣化していた肝臓も良い状態に回復させることができるのです。
実際にヨーロッパでは、移植には適さないとされていた人間の肝臓を10個装置に接続することで、その内の6つが1週間以内に機能を取り戻し、移植可能なレベルに回復しました。