アイスコアから未知の古代ウィルスが発見される
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複雑な手順によって露出したアイスコア内部からは33のウィルスグループが発見されました。しかも、このうち28種類のウィルスは現代では知られていないものでした。
チベットの氷河タイムカプセルには古代ウィルスが入っていたのです。この贈り物は、私たちに2つの大きな影響を与えるものとなります。
1つは、古代の情報です。アイスコアの中の微生物たちは当時の環境情報を教えてくれます。実際に、今回調査された2つのアイスコアに含まれる微生物の種類はそれぞれ大きく異なっており、堆積時の気候が全く異なっていたことを示してくれました。
2つ目の影響は、古代ウィルス拡散の可能性です。研究者たちは「最悪のシナリオだが、気候変動により氷が融解した場合に、古代の未知ウィルスが解き放たれる可能性がある」と述べています。もちろん、未知の古代ウィルスが拡散したからといって人間に感染するとは限りません。しかし、可能性はゼロではないのです。
研究者たちは「気候変動によって氷河が溶けてしまうなら、古代ウィルスアーカイブは失われる可能性がある」と指摘しています。氷河から古代の情報を得るためにも、また今後に備えるためにも、古代ウィルスの研究は重要性を増していくでしょう。