- 超大質量ブラックホールの周辺のハビタブルゾーンは、限定的な条件で実現が可能
- このとき、重力で圧縮された宇宙マイクロ波背景放射が太陽光の代わりとして機能する
- 思考実験で想定された非常に極端な環境であり、現実に発見することは難しい
過去のイメージとは異なり、ブラックホールは何でもかんでもお構いなしに吸い込むわけではありません。近年、太陽などの恒星と同様に、その周囲に惑星が形成される可能性があることがわかってきました。
そうなると気になってくるのが、ブラックホール周辺で人類などの生命が居住可能な「ハビタブルゾーン」は存在するのか? という問題です。
今回、その可能性について真面目に検証した研究が発表されました。
しかも面白いことに、この研究は2014年に公開されたSF映画『インターステラー』に触発されたのがきっかけだったというのです。
SF映画の設定を真面目に思考実験してみた、というこの研究。果たしてブラックホールの周りに人類が住むことは可能なのでしょうか?
この研究は、チェコ共和国のシレジア大学の天体研究者Pavel Bakala氏を筆頭とする研究チームにより発表され、天文学の科学雑誌『The Astrophysical Journal』に1月23日付けで掲載されています。
https://doi.org/10.3847/1538-4357/ab5dab
研究者が触発された映画『インターステラー』
SF映画『インターステラー』では、人類の移住先候補として、超大質量ブラックホールの周囲を公転する惑星が取り上げられます。
主人公の宇宙飛行士は、土星近くで発見されたワームホールをくぐり抜け、超大質量ブラックホール『ガルガンチュア』の周りを公転するいくつかの惑星を訪れます。
この映画は最新の宇宙論を取り入れたことが話題となっていて、巨大ブラックホール「ガルガンチュア」のビジュアルも、一般相対性理論に基づいたシミュレーションを忠実に再現して描かれています。
そんなわけで、この映画はプロの天文学者にも興味深い内容になっていたようです。
今回の研究者は、この映画に触発され、実際ブラックホールの周辺で居住可能な惑星を見つけられるのかを真面目に考えてみたといいます。