- 昨年10月に撮影に成功した火星の「塵旋風」の画像が、新たに公開される
- 火星では頻繁に発生するが、すぐに消えるため、実際に撮影されることはほとんどない
NASA(アメリカ航空宇宙局)およびアリゾナ大学は、10日、昨年10月に撮影された火星の「塵旋風(じんせんぷう)」の画像を公開しました。
塵旋風とは、地表付近に発生した上昇気流が、水平方向の強風で渦巻き状に回転しながら生じる突風のことです。
チリやホコリが突発的に舞い上がる様子から、英語では「ダストデビル(Dust devil)」と呼ばれています。
アリゾナ大学による報告は、2月10日付けで「The University of Arizona」に掲載されました。
https://www.uahirise.org/ESP_061787_2140
頻繁に発生する「ダストデビル」
火星で塵旋風が起きるのは珍しくありません。
火星の地表は、チリや土埃に覆われているため、上昇気流と水平方向の突風さえ吹けば、簡単に発生します。しかしその一方、塵旋風は、発生したのと同じくらい唐突に消えるため、画像におさめられることは大変珍しいのです。
その貴重な現象を見事撮影したのが、NASAの火星探査機「MRO(マーズ・リコネッサンス・オービター)」でした。MROは、2005年に打ち上げられ、火星の周回軌道に入り、2006年から火星表面の撮影を行なっています。
実際に撮影に用いられたのは、MROに搭載されている高解像度撮影機器「HiRISE」、撮影場所は、火星の北半球に位置する「アマゾニス平原」でした。
アリゾナ大学の研究チームによると、塵旋風の直径は約50メートル、高さは、地表に映る影から計算した結果、650メートルに達するとのことです。しかし、このサイズは大きいとは言えません。
というのも、火星のダストデビルは、2012年にも撮影されており、その高さは衝撃の20キロです。一方で、その衝撃の高さとは裏腹に、直径は70メートルほどしかありませんでした。
火星では、ダストデビルはかなり頻繁に起こることが予測されます。
そのため、もし人類が火星に移住するならば、警戒すべき自然災害の一つとなるでしょう。