- 探査機ジュノーの調査で、木星の水の存在に関する新しい発見が報告された
- 過去の調査では、木星は太陽より乾燥していると言われていた
- 惑星の吸収している水分量は、惑星の形成や気象、内部構造について重要な意味を持つ
木星は太陽系で最初に形成された惑星と考えられていて、その組成には太陽に取り込まれなかった塵やガスの大部分が含まれています。
かつて、探査機ガリレオの調査では、木星は太陽と比較して非常に乾燥している可能性があるという結果を示されました。
太陽と比較して乾燥しているとは、なんだかおかしな表現に聞こえますが、これは液体の水ではなく、その元になる水素や酸素の存在に基づいて指摘しているものです。
このため、木星大気に含まれる水の総量を推定することは、長年に渡って惑星科学者たちの興味の対象となっていました。
探査機ジュノーのもたらした最新の調査結果では、木星大気中の分子の約0.25%が水であり、その量は太陽の3倍にあたると推定しています。
この調査結果は、ジュノーの科学チームから発表され、天文学に関する科学雑誌『Nature Astronomy』に2月10日付けで掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41550-020-1009-3
探査機ガリレオによる測定
探査機ガリレオは、1995年12月にプローブ(探針)を木星内部に打ち込み、信号が停止するまで57分間大気圏内の調査を行いました。
その際、ガリレオの探針は木星大気内を120キロメートルの深さ(約22気圧)まで測定し、木星大気の水分量が当初の予想より10分の1も少ないことを明らかにしました。
想像以上に木星の水分が少ないことに科学者たちは落胆しましたが、この計測では限界深度でさえ水分量が上昇しているように見えるデータをもたらしました。
通常、十分に混合された大気では、含水量がどの地域でも一定の値になります。それは世界全体の平均値になるのです。
しかし限界深度でさえ水分量が変動していたということは、木星大気が雲の中でさえ思ったほど混合されていなかったという事実を示しています。
これは予想と異なり、木星大気は地域によって水分量が変動していて、ガリレオの調査は、不運にもたまたま乾燥した地域を測定しただけだった可能性を示唆しています。
そのため、ガリレオの調査以降、惑星科学者たちは木星全体の正確な水分量を推定したい、と熱望するようになったのです。