小さな星でスーパーフレアが起きる謎
今回観測された天体は「J0331-27」と名付けられているL型矮星で、質量は太陽の8%程度しかありません。
L型とは、褐色矮星の温度による分類を示しています。
褐色矮星は恒星としては温度が非常に低く、2000〜200K(ケルビン)しかありません。これは高い方から順にL型、T型、Y型とスペクトルで分類されています。
L型は比較的温度の高い褐色矮星という分類になりますが、「J0331-27」でも表面温度は2100K(太陽の3分の1程度の温度)しかありません。
星の磁場がエネルギーを蓄積する原因は、高温環境で生成される荷電粒子(イオン)が原因と考えられています。
そのため、褐色矮星のように低い温度では、十分な荷電粒子を生成して磁場にエネルギーを供給することはできないと考えられていました。
今回検出されたスーパーフレアは太陽でも起こすことのできないレベルの高エネルギー放出で、それを褐色矮星が起こした原因は、未だにはっきりと分かっていません。
しかし、通常の恒星が頻繁にフレアを起こすのに対して、「J0331-27」では観測記録の40日間で確認されたフレアは1回だけでした。
これは褐色矮星のような星が、エネルギーを蓄積するのに非常に長い時間を要することを示しています。
質量の大きな星が、少ないエネルギー放出を頻繁に繰り返すのに対して、L型矮星は非常にまれに、大量に蓄積したエネルギーを放出する可能性があります。
ただ、これが事実であるかどうかを検証するにはさらなる調査が必要になりそうです。
研究チームは、現在も調査継続中のXMM-Newtonのアーカイブから、類似した現象の記録をより多く発見し、この不思議な褐色矮星のスーパーフレアを研究していく予定だと話しています。