- 褐色矮星の観測データから、太陽フレアの10倍という巨大な爆発の記録が発見された
- これは褐色矮星のスーパーフレアをX線波長で捉えた最初の記録になる
- 核融合できない小さな星で、スーパーフレアが起こる原因は現状では解明されていない
褐色矮星とは、木星などの巨大ガス惑星より質量が大きく、太陽質量よりはずっと小さい、核融合を十分に起こせない恒星のことです。
光り輝くことができず低温の褐色矮星は、可視光もX線も放たないため、発見することが難しい天体ですが、この星からは何故か過去に何度もフレアが観測されています。
フレアは恒星の表面で起きる爆発現象で、そこからは様々な波長の増光が確認されます。
今回の発見は非常に極端な「スーパーフレア」に分類される爆発で、太陽で観測されたもっとも巨大なフレアの10倍近いエネルギーを放出していたといいます。
軽い褐色矮星からそれだけ巨大なスーパーフレアがX線波長で発見されたのは、これが初めてです。
この事実に、多くの天文学者たちが困惑しているようです。
この観測に関する論文は、イタリア国立天体物理学研究所の天体物理学者Andrea De Luca氏が率いる大規模な研究プロジェクトチームより発表され、2月12日付で天文学に関する科学雑誌『Astronomy&Astrophysics』に掲載されています。
https://doi.org/10.1051/0004-6361/201937163
星でフレアが起きる理由
現在有力な説では、フレアは星の大気内で磁場が不安定になり、磁力線の繋ぎかえが起きた際、蓄積された磁気エネルギーの大部分が解放されることで起きると考えられています。
褐色矮星は恒星に分類されていますが、質量が足りないために中心核で安定して水素を核融合させることができません。そのため、高エネルギーの生成はできないと考えられていました。
しかし2000年にNASAの「チャンドラ」X線宇宙望遠鏡が、褐色矮星からフレアの輝きを初めて観測しました。
褐色矮星に見られるフレアは、軽い星でも強い磁気圏が存在する証拠と考えられるのです。