学校の飼育小屋や動物園で目にするオウムは、白や黄色、緑などの優しい色合いがほとんどです。
しかし、世界には、文字通り「異色の」オウムが存在します。
中でも、ニューギニア島にしか生息しない「ペスケオウム(学名:Psittrichas fulgidus)」は、その体色から「ドラキュラ・オウム」と呼ばれているのです。
見た目は完全に「ドラキュラ伯爵」
ちなみに、ペスケオウムは、和名で「アラゲインコ」という正式な学名が付いています。
オウム科とインコ科は、世界に350種以上存在するオウム目の2大グループで、ペスケオウムも正確にはインコ科に属するようです。
ところが現地では、識別できなかったのか「ドラキュラ・オウム(Dracula parrot)」と呼ばれています。
ここでは現地にならって、ドラキュラ・オウムと呼びます。
ドラキュラ・オウムは、全身黒ずくめで、両翼に真紅のストライプが入っているのが最大の特徴。
確かに、見た目は完全にドラキュラ伯爵のタキシードですね。
全長は約50センチ、体重は680〜800グラムほど。
首は長くて、尾は短く、頭部は硬い毛で覆われ、顔に毛はありません。これは、毛に果肉が付着して、顔が汚れるのを避けるためと考えられています。
顔に毛がないオウム目は、ドラキュラ・オウムを含め、世界に3種類しかいないそうです。
オスとメスは見た目がほぼ一緒で、見分けるのはかなり難しいようです。
ただ唯一の違いは、オスにだけ耳の後ろに赤い斑点があること。それを知っていれば、パッと見ただけで分かるかもしれませんね。
また、他のインコやオウムのように、枝から枝へ歩くようには移動しません。彼らの主な移動手段はジャンプです。
それから、ドラキュラ・オウムとは言うものの、食べるものはいたって普通です。イチジクやマンゴー、キノコ類、数種類の花を好物とします。
ニンニクが苦手かどうかは分かりませんが、昼間でも外を出歩けるのは確かでしょう。
ドラキュラ・オウムは近年、密猟や乱獲、土地開発による生息地の減少などで徐々に数を減らしています。
羽毛が非常に美しいため、婚礼に使うドレス用として捕獲されたりもするそうです。
絶滅も危惧されており、保護活動の必要性が高まっています。