テニスプレイのイメージで返答する

まず、大前提として、患者は意識を保っていて、医師の言葉が聞こえていなければいけません。
そして、患者は、医師の質問に「はい / いいえ」の2択で返答できます。この返答には脳内イメージを活用します。
医師は、患者が「はい」と答えたいときには、「自分がテニスをしている状況を想像する」よう指示します。そして、「いいえ」と答えたい場合には、「何も考えない」よう指示します。

脳内スキャナーは、動きに関係する脳の信号を感じ取り、「テニスプレイを想像した」ときに点灯するようになっています。
医師たちは、質問と信号のキャッチを繰り返すことで、患者の意思を把握できます。
実際に、脳損傷の無いボランティアたちでテストを行ったところ、4分の3が質問に正確に回答できたようです。
さらに、研究チームは、脳内スキャナーを使用して、完全麻痺状態にある人と話すことにも成功しました。
オーウェン氏によると、脳内スキャナ―は、患者の願いを汲み取るだけでなく、今後の症状の改善に関する情報も明らかにしてくれるようです。「脳スキャナ―の指示に反応できる人は回復する可能性が高い」とのこと。
動けない患者の意思を知ることができるのは、医学と科学の大きな進歩の結果だと言えるでしょう。
ただし、この方法には、まだ多くの考慮すべき点が残っています。
テストで、4分の1のボランティアが正確に回答できなかったわけですから、まだ「延命治療」などの重大な質問を投げかけるわけにはいきません。
また、「患者が自分の状況や質問の意味を本当に理解しているか?」といった疑問点も残っています。安楽死などの意思確認に採用するには、まだ時間がかかりそうです。