
- 現代の狩猟採集民も先進国の現代人と同じく、座りすぎの状態にあった
- しかし、座りすぎに伴う疾患はまったく見られない
- その理由は、先進国のように椅子に座るのではなく、「しゃがむ」ことにあった
「座りすぎ」は、現代人が抱える健康問題のひとつです。
座る時間が長いほど、健康への害悪も増え、背痛や静脈瘤、糖尿病の発症リスクが高まります。特に先進国では、インターネットの普及とともにデスクワークが急増し、座りすぎが蔓延しています。
先進国に比べると、いまだに狩猟採集をして暮らす民族には、座りすぎ問題は皆無と思われるしょう。
ところが、南カリフォルニア大学の研究によると、ある民族の座る時間は、先進国に住む現代人とまったく変わらないことが分かったのです。
しかし、問題はそこではありません。
注目すべきは、座る時間が同じにもかかわらず、原始民族が非常に健康であるという点です。
そして研究チームによると、原始民の健康の秘密は、座る時間ではなく、座り方に隠されていました。
研究の詳細は、3月9日付けで「PNAS」に掲載されています。
https://www.pnas.org/content/early/2020/03/03/1911868117
世界で最も「座りすぎ」なのは日本人
座りすぎは、飲酒や喫煙に比べると軽視されがちですが、同じくらい危険です。
運動不足による血流や代謝の悪化はもちろん、脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病、がん、認知症などの発症リスクを高めます。
WHO(世界保健機関)の調べでは、1日の座位時間が4時間未満の成人に比べ、11時間以上座っている人は死亡リスクが40%も高いことが分かっています。

また、座りすぎは、体だけでなく心にもダメージを与えます。
例えば、1日12時間以上座っている人は、6時間未満の人に比べ、精神疾患の発症率が3倍も高いのです。座りすぎによるメンタルの悪化は、うつ病や自殺願望にもつながりかねません。
そして、驚くことに、座る時間が世界で最も長いのが、日本人の平均7時間なのです。
日本人のストレス過多や自殺率が高いのは、座りすぎにも一因があるのかもしれません。