- 「チデグルシブ」という化合物により、歯の細胞自体を再生することで、従来の詰め物治療が不要になる
- 詰め物は、歯の強度を弱めたり、詰め物自体の修復治療が必要だったりと、デメリットも多い
- チデグルシブは、コラーゲン状のスポンジと一緒に虫歯部分へ埋め込むだけで、あとは自然に再生する
現在の虫歯治療は、詰め物での対処がほとんどですが、これは歯の強度を弱める原因となります。また、劣化すると取り替えなければいけません。
詰め物は便利なようで、意外とデメリットも多い治療法です。
しかし近年、歯の細胞を再生することで虫歯が自然治癒される方法が可能になりつつあります。
これは「チデグルシブ(Tideglusib )」という化合物を用いる方法ですが、これまではまだマウスでの試験段階にありました。
ところが今回、KCL(キングス・カレッジ・ロンドン、英)の研究チームが、ついに人での臨床試験に成功したようです。
研究の詳細は、3月10日付けで「Journal of Dental Research」に掲載されました。
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0022034520908593?journalCode=jdrb
従来の虫歯治療
人の歯は主に3層構造からなっています。
中心部の「歯髄」という神経、それを囲む「象牙質」、その象牙質をさらに覆う「エナメル質」の3つです。
一番外側のエナメル質は、人体の中で最も硬い部分であり、(虫歯の初期段階を示す)内部ミネラルの溶出が起きても、歯髄に伝わることがないので痛みはありません。
しかし、真ん中の象牙質が損失し始めると神経に届き、本格的な虫歯となります。
こうした虫歯への対処は、プラスチックの詰め物を入れるか、型取りをして金歯や銀歯を入れるか、あるいはセラミックの被せ物をするかという方法が主流となっています。