最近の研究で次々と発覚する粘菌のスゴさ
それでは、大規模構造をも描ける粘菌の能力とは一体何なのでしょうか。
最近では他の研究でも、モジホコリカビの驚くべき能力が次々に知られてきています。
慶應義塾大学の研究者たちは、近年、モジホコリカビの持つ最適な分配ネットワークを作成する能力が、数学的難問である「巡回セールスマン問題」に対するほぼ最適な回答を出せることを明らかにしました。
巡回セールスマン問題とは、一人のセールスマンが複数の場所を巡回するにあたっての、最短最速ルートを計算する問題です。この問題を解決するには、開発中の量子コンピューターによる演算が必要だといいます。
学習能力を持ち、エサがなくなれば脱走し、量子コンピューターに匹敵する問題解決能力を持ち、宇宙の構造すら再現するモジホコリカビ。
これが単にモジホコリカビの食性に起因するのか、または未知の知性によるかはまだわかりません。
ですが、モジホコリカビの利用は、中垣俊之教授を擁する日本でも既にはじまっており、モジホコリカビの最適化能力から都市構造の設計理論が研究されています。
実現すれば、人類の都市構造は粘菌の指示によって決定することになります。
それが何を意味するかは、まだ誰もわかりません。
またモジホコリカビの品種改良や遺伝子編集が行われれば、さらに高度な能力を持つ粘菌が創造される可能性もあります。
もしかしたら、人類の知能をあっさり追い抜いている未来も有り得るのかもしれません。