- 720年に完成した『日本書紀』に、日本最古の天文記録が見られることが判明
- それによると、当時の日本人は「赤い扇型オーロラ」を「雉の尾」に例えていた
日本最古の歴史書のひとつである『日本書紀』は、西暦720年の奈良時代に完成してから、今年でちょうど編纂1300年を迎えます。
この記念すべき年に、国立極地研究所および国文学研究資料館の研究チームは、「日本最古の天文記録が『日本書紀』に記されている」と発表しました。
原文中の「推古二十八年(620年)」の箇所に見られる「赤気」が、近年の天文研究で解明されてきた「扇型オーロラ」と合致するというのです。
論文は3月31日、「総研大文化科学研究 第16号(2020)」に掲載予定で、現在は国立極地研究所から詳細が確認できます。
http://www.bunka.soken.ac.jp/journal_bunka/title_index.html
昔の日本では「赤いオーロラ」が見れた?
「推古二十八年(620年)」のくだりには、次のような記載が確認できます。
十二月の庚寅(かのえとら)の朔に、天に赤気有り。長さ一丈余なり。形雉尾に似れり。
一言で、「空に現れた赤気が雉の尾のようだった」と書かれています。「赤気」とは、当時の表現で「上空に現れる赤色の雲気」を意味する言葉です。
中国の歴史書には同年620年に出たオーロラの記述は無く、日本書紀では彗星は「箒星(ほうきぼし)」と記されていたため、オーロラなのか彗星なのか、科学的には謎めいた記述として知られてきました。
しかし近年の古文書を踏まえた文理協同の天文研究では、低・中緯度の日本で観測されたオーロラは、赤色で扇型だったことが分かっており、原文中の「赤気」はオーロラを示すと思われます。
現在、日本でオーロラが見られるのは北海道くらいですが、当時の日本は、磁気緯度が現在より10度ほど高かったため、磁気嵐が起これば、都の方でオーロラが見えてもおかしくありません。