- ブラックホールの離れた位置で曲がった光は、ぼんやりした画像の原因
- 近傍の光はブラックホールを周回していて、その分シャープな画像を作り出せる
- 新たな研究は、このシャープな下部構造のリングを予測する計算方法を公開した
2019年4月にブラックホールを撮影した画像が公開され大きな話題を呼びましたが、画像はなんだかもやっとした巨大な輝くリングでした。
これはブラックホールから離れた場所で重力に曲げられた光が含まれるため、大きく広がったぼやけた姿に見えるのです。
ブラックホール画像は、そんな遠方で曲がった光と近傍に捕まってブラックホールを周回した光による入れ子構造のリングで構成されています。
天文学者たちはここから、ブラックホールに近い場所を周回した光だけを取り出して、よりシャープで鮮明なリングを捉え、ブラックホールの質量や自転に関する詳細な情報を手に入れようとしています。
今回の研究は、そんなブラックホールをもっと鮮明に見るための方法を提案するものです。
この研究は、ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(CfA)の研究者Michael D. Johnson氏を筆頭とする研究チームより発表され、論文は査読付きオープンアクセス科学雑誌『Science Advances』に3月18日付で掲載されています。
https://advances.sciencemag.org/content/6/12/eaaz1310
ブラックホールの撮影方法
ブラックホールはよく知られているように、光さえ吸い込んでしまう強力な重力源です。そのため、その姿を直接見ることはできません。
ブラックホールの周りには吸い寄せられた物質(塵やガス)が激しく回転する降着円盤があり、それは輝くリングを作り出しています。
リングが輝く一方、ブラックホールに触れた光は失われてしまうため、私たちは光の中にできた影を見ることでその姿を知ることができます。
ブラックホールはその強い重力によって周辺から届く光を曲げたり、捕まえたりしています。以前撮影されたブラックホール画像はそうした光を撮影しているのです。
このフォトンリングはブラックホールの指紋と呼べるもので、その質量や形、回転(スピン)についての情報を保持しています。
撮影に成功したブラックホールのフォトンリングは、なんだかもやっとしています。
これはもっとはっきりとできないのでしょうか?