- 現在北磁極がカナダからシベリアへ向けて急速に移動している
- この原因が、地球コアの液化している外核で起きているというモデルが発表された
- 北磁極の大移動はシベリア付近で収まり、以降はこの地域で安定すると考えられる
以前、「地球の北磁極が大きく移動しており、5年おきに更新されている世界磁気モデルが前倒しで更新された」というニュースを取り扱いました。
この時点では北磁極の大きな移動の原因は不明でしたが、今回その原因を説明するモデルが発表されました。
磁極の発生については完全に理解されていない問題ですが、今回の研究が示したモデルに従えば、北磁極の大移動はシベリア付近で終了し、以降はこの地域で安定するだろうと予想されています。
多くの人が不安に感じていた磁極反転(ポールシフト)の心配は、このモデルによるとなさそうです。一安心といったところですね。
地球の頂点にある3つの極
地球の北には3つの極が存在しています。
1つは自転軸(地軸)と交わる点で、地球の自転の中心です。
もう1つは地磁気極で、これは地球を巨大な棒磁石(磁気双極子)と考えた場合のS極となる点です。
この2つの極は位置がほぼ一致していてほとんど変動することはありません。また、地球中心を通った南側にピタリと対極が存在しています。
3つ目の極は北磁極で、これは地球の放つ磁力線が地表と垂直に交わっている場所です。そして今回話題になっているのが、この北磁極です。
地磁気極と磁極は教科書の中でも混同して扱われていたりしますが、実は違うもの。磁極の場合は北と南が地球中心を通った直線上に位置しておらず、毎年それぞれの位置が大きく移動しています。
地球コアの外核は、超高温の液化した鉄でできています。この鉄の流動が電流を発生させ、地球の磁力を生み出しています。液化して流動している外核では、個体の磁石と異なり磁力線の発生位置が動いてしまいます。
そのため、磁極は地球を棒磁石に見たてた地磁気極とは位置がズレてしまうのです。
地球の北磁極は、測定が行われてからずっと年間15キロメートル未満の速度で動き回っていて、それはずっとカナダ北部にありました。
しかし、1990年以降は年間50~60キロメートルとかなり大幅な移動を行っていて、北磁極はカナダ北部からロシア北部(シベリア方面)に向かってズレていき、2017年には日付変更線を越えてしまいました。