- 太陽系にもっとも近い地球型惑星プロキシマbについて、詳細な情報が明らかにされた
- 新たに稼働したESPRESSO分光計は、明確でなかった質量や公転周期を明らかにしている
- その結果プロキシマbの質量は地球の1.17倍、公転周期は11.2日であることが判明した
2016年に発見された地球型惑星プロキシマbは、太陽系にもっとも近い恒星プロキシマ・ケンタウリの星系内にあり、その距離は太陽系から4.2光年です。
この惑星は、いわゆるハピタブルゾーン(生命居住可能領域)にあると考えられ液体の水も存在する可能性があり、生命の発生もありゆるといわれていました。
しかし、これまでの観測精度では、明確なことはわからず、公転軌道や質量については推測の域を出ていませんでした。
新たに稼働した新世代のESPRESSO分光計はこれまでの3倍以上の精度の観測が可能で、こうした曖昧だった部分を補強し、地球にもっとも近い惑星の情報を更新しています。
地球にもっとも近い地球
プロキシマbは、赤色矮星プロキシマ・ケンタウリの周りを回る岩石の惑星です。
地球や火星も岩石でできた惑星なので、こうした天体を地球型惑星と呼びます。
そして、地球型惑星は主星との位置関係によって、地球同様に生命の誕生に必要な環境を持つ可能性があります。
その領域をハピタブルゾーンと呼ぶのです。
プロキシマbは、新たな観測により質量が地球の1.17倍であることが判明しました。以前の観測では約1.3倍で、誤差によっては最大3倍くらいになるかも、と言われていたので、かなり詳細な分析が可能になったと言えます。
これでプロキシマbの重力的なサイズの問題は、地球とほぼ同様でクリアしています。
では主星との位置関係はどうでしょうか?
今回の観測で、プロキシマbの公転周期はなんと11.2日と判明したのです。
つまり1年が地球の11.2日ということになります。
ここから計算されたプロキシマbの主星との距離は、約0.05天文単位(地球と太陽の距離の20分の1)です。
こりゃだめだ。近すぎる。と、思うかもしれませんが、絶望するのは早すぎます。
主星であるプロキシマ・ケンタウリは赤色矮星と呼ばれる恒星の中では最小の部類で、サイズは太陽の8分の1ほどしかありません。
そのため、地球が太陽から受けるエネルギーと同等になる距離、ハピタブルゾーンもずっと星に近い位置になります。
プロキシマbの0.05天文単位という距離は、まさに地球と太陽の関係とエネルギー的な条件は同等の位置になるのです。
そのため、気温も地球に近く液体の水も存在でき、生命誕生に必要な環境が整っている可能性が高いと考えられるのです。
ただ、活動の活発な赤色矮星に近いプロキシマbでは、惑星に降り注ぐX線量が地球の約400倍になると推測され、その辺りはネックになると考えられます。